2019.03.15 Note

YCAMでやってたバイオのワークショップに言ってきました。DIYバイオ。自分で遺伝子解析してみよう、という話です。僕の中では従来は大規模な施設が必要というイメージでしたし、サイエンスの方とコラボしたらやれるんだろうなと言うイメージはあるものの、では自分でできるのか?と言うと、そういうイメージは全くなく。そこにきてこのイベント。パーソナルバイオテクのロジーというキーワードはなかなかに刺激的でした。

パーソナル・バイオテクノロジー|山口情報芸術センター[YCAM]

とても楽しかったのですが、3日間の内容は濃密すぎて解説してたらキリがないので写真で雰囲気を紹介します。


つださん。


解析してみる題材を各々選びました。イメージがわかなくて面白そうなのでサラダにしてみました。


ドライアイスで冷やしながらすりつぶしました。


ピペット。楽しいです。比較的手先は器用な方で、細かい作業は好きです。


冷やしました。


手順を追ってできるようになってるYCAM自作のサンプル置き。


Bento Labって言うすごいやつです。


分量を見てる気がします。札幌から来られてる方とかスーパー高校生とかいてバラエティ豊かです。


僕らのチームはあんまり結果が良くなかったです。魔法の杖じゃないと言うことがわかってよかったです。


こいつがすごいやつ。第三世代のゲノム配列読み取り機だそうです。機械部分と特殊なタンパク質(?)の合わさって動作するデバイスだそうで、そのSFアイテム感にテンションが上がりました。


ウェブのインターフェースで見れるのは今っぽい感じです。


コンタクトゴンゾのエクササイズを毎朝やりました。

これほんとよくて、シンプルなルールのみで複数人が交わることで生物としての群行動的アウトプットにつながっていて、彼らは人間にコードを書き込んでNature of Codeをやってるんだと思いました。真上からカメラで撮影してヒトという群の原始的行動を見たいと思いました。こういうシンプルで拡張性があり美しいルールで構成されるなにかを自分でも作りたいな。


バイオっぽい作業が終わった翌日はデジタルな作業で普段ぽい感じでした。解析されたデータは文字列なので、説明でアスキーコードが出てきたり、Homebrewで解析用のパッケージ入れてTerminal叩いたり、と比較的ホームを感じました。


ゲノム解析済みの食品しか使わないお昼ご飯のお茶。ゲノム弁当。


解析ももちろん面白かったんだけど、このディスカッションが一番僕がエキサイティングだったし、もっとやりたかったです。

研究者やアーティストの方々は皆知的であり知識も豊富ではあるが、思ったよりも自分は自分の専門やそれ以外で得てきた知識、ディスカッションする力で近いスピード感や密度で話せたように思いました。またこう言う濃い場が欲しい。が、京都にはない。作りたいなぁ、と思いましたが。どうかな〜。


なんか最後の発表。


お疲れ様でした。


ベントウラボに寄せ書き。高いのに!こう言うノリが素敵。

写真が一枚もないのですがトークのなかで一番僕にとっては刺さったのが今年のメディア芸術祭でも受賞されている研究者でもありアーティストでもある岩崎さんの講演。実験は専門家以外も皆がやった方がいい、それによりもっと建設的な議論ができる、と言う話をされていて、それはあらゆる技術においてもそういうものだと感じているので、そうだそうだ!と言う感じ。一方でDIYやオープンサイエンスと責任の所在の話もあってバランスが良い。後生物って全然DNAだけじゃないよね。デジタルに扱えるのが今の所そこだけだから注目されがちだけどって言う話とか。

僕は体内微生物で体は全然変わるとか、人と人が直接的接触をすることで微生物の交換が行われて人が物理的に変わっていく、みたいなのをロマンチックだなと思っている僕としては、遺伝子だけじゃない話は好きです。

あと、自由と責任の話ですが。DIYでできる範囲がどんどん広がっていってどこで線引きをする?と言う問題は3Dプリントの頃はまだ問題が小さいと思っていました。できることといえばせいぜい人間を数人殺すくらいしかできない。もちろんあってはならないことですが、あくまで影響範囲でいうと、地域全体が大変なことになるとか、その後数世紀に渡ってある地域がやばいとか、そういうものではない。あくまで極めて限定的な範囲です。

一方でバイオのDIYはその遺伝子改変がもしかしたらある種や生態系全体を壊してしまう可能性があるものだと思います。家で行なった遺伝子改変した生物が逃げ出したりとか。もう一つ僕がなんとなく興味を持っているテーマである地球工学なんかも、DIY地球工学が長い年月にわたってある地域全体に悪影響を及ぼすような可能性はあると思っています。そういう意味でディスカッションしていくと結局のところ「自由とは何か?」という議論に足を踏み入れたのは面白いところ。結局は哲学的議論を皆でする必要があるのだと感じます。抽象と具象をいったりきたり。

後、遺伝子とか生物とかの話になると、人間としては子供を作るとかの話にも踏み込むので愛と死の話になったり、人間の取る行動なんて所詮種の保存と繁栄の為に並列で試行するためのプログラミングされた行動でしかないんですよ、好きに生きることでその試行が行われて最適化されて行くんですよ、みたいな話になったり。

最終日には、チームでアイディエーション→資料作ってプレゼン。僕らのチームは《食べる動物園》《微生物ウォーズ ゲノムバトラー》の2つのアイデアで、それぞれ境界を探る問いを重視したエッジなものと、社会実装や認知・普及を目指した超ポップに落とし込んだ案の二つを出しました。どのチームも素晴らしかったけど、パンチでは負けてなかったはずなような気も。

本当に、アーティストや研究者やエンジニアやスーパー高校生やら、本当にすごいじゃんと言う人ばっかりで、望むらくはもっとみなさんとディスカッションしたかったと言うところで、非常に非常に刺激やインスピレーションになる夢のような3日間でした。知るということは本当に楽しい。

まあワークショップというのはそれ自体がどれだけ良いものであったとしても、いや良いものであるほど、何かした気持ちになって何かを持ち帰った気持ちになって、しかし実際には持ち帰ったのは高揚感だけで時間が経つにつれて何もなかったことになるというのが世の常なのでそうならないようにしないと、と思うものです。

ちなみに、最初にも述べたとおり遠い遠い世界だった遺伝子解析のようなことが、もしかしてその分野の専門家のしての経歴がなくても、簡単なレベルなら自分でもできる時代になりつつあるのかも?なっていくのかも?と言うことを初めて感じたのは2017に東京であったイベントTRANS BOOKSです。

TRANS BOOKS | 2017年11月4日(土)、5日(日) 11:00 – 18:30 @ TAM コワーキング 神保町

そこにあった、飯塚未央さんという方の作品《The male or female》を見まして。このプロジェクトはコンビニのフライドチキンのDNA解析をしてみるって言う身近な題材からギュンと入ってくる問いかけを持った作品で、興味深いな〜と思いってました。

iimio.com : Mio I-zawa’s WEB :: 飯沢未央 » The male or female [book set]

で、今回のキャンプの最初に自己紹介の時間が全員にありまして。まあしていったわけですが。そのような経緯のことを言おうと思っていたんですが、ご本人の飯塚さんも参加されててびっくりしたりとかもあります。びっくりして一瞬喋る内容が飛びましたがなんとか。

何れにしてもとても濃密で最高に楽しい三日間だったので記事化しないといけない人は本当に大変だろうなと思う次第です。

2019.03.09 Note

先日初めて京都市立芸術大学の卒業展示に行ってきました。その時の印象に残った写真です。この日は作品写真とともに作品名・作者名をメモしてくるのを忘れたので写真のみ・・・。

全体を通してテクノロジーを用いた作品は極めて少なくて、逆にファインアートや工芸に強さを感じました。

はじめに述べた通り初めて行ったのですが、なんせ遠い。でもその分なんか秘めた感じがあって良いです。広く、設備も多く大きい気がしました。雰囲気はかなりよかったのでなんなら移転しなくてもいいのに、と思ったくらいですが。

2019.03.07 Note

先日行われた京都精華大学の卒業展示に行ってきました。以前は会場が京都市美術館だったのですが、美術館が工事に入ったため去年から大学が会場になっています。会場が美術館でなくなったことをネガティブに感じる学生も中にはいたそうですが、例年見ている側としては大学になった事によるメリットもあるなと思っています。設営の準備期間が取りやすくなったこと、移動のしやすさから物理的に大きなものを設置しやすくなっていること、そもそも一人当たりが使えるスペースが増えていること、などです。

一般的な展示はある意味何かが目的で行くものだし、卒展はある種特殊な場なように思います。作品数がとても多く並ぶので、どうしても、ともすればサーっと見てしまうし、その中で足を止めさせるということはまず何より重要。そのために物理的な大きさというのはそれだけで前を通り過ぎるためにかかる時間が伸びるのである意味究極に単純で有効な方法だなと毎回思います。素晴らしい思索も、これだけの数があるとどうしても視覚的インパクトなしには埋もれてしまいがちというか。

そんな中人文の論文も正直初めて少しちゃんと見て回ったのですが、個人的に興味を惹かれるものもあり、しかしそれもどうしても展示が小さくてともすれば気づかない、勿体無いなと思いました。もちろん、ただ机の上に論文冊子を並べるでなく空間として工夫したりはしているのですけどね。

以下、写真が撮れていた作品の中からいくつか。



Akinori MIYAKE 《うちの猫》


Jasmine NODA 《記憶のスワン 04 / 祈祷》


Kaoru MIYAMOTO 《25000時間》


Moeri HAYAISHI 《motto》



Tomo KOIKE 《せいかのっく・ぷろじぇくと》


Natsuki SHIBATA 《地蔵双生児》


Masato NAKANO 《Seventh sense》


Karenina OBRI 《String Theory》


Ryusei SAKURAI 《It’s you, but not you.》


Kaya KAWAHARA 《PROCESS》


Sawako KATAOKA 《私は名器》


Yuto KATAYOSE 《seem to》


Nanami TOMIOKA 《memory》


Akio ONISHI 《何だって分かる、自分のこと以外なら》


リュウガイ 《文化現象としての毛 〜無毛美について〜》


山本初音 《わいせつ物と表現の自由》


屋外にあったライブペイント

2018.11.28 Tech

10.26に京都市美術館付属棟で実施した若手映像作家達の展示イベント『B1 MIRAGE』で照明制御を行った。その際のシステムについて簡単に解説。

B1 Mirage from Kousei Ikeda / ikekou on Vimeo.

ハードウェア

まずハード(物理層、データリンク層あたり?)は大体こんな感じ。

機材は
・PC *1
・LED Strip *20
・LED Bar *30
・Art-Net DMX Converter (Open DMX Ethernet) *2
・DMX SPI Converter *2
・Router *1
・Art-Net SPI Converter (PixLite16) *1
・スイッチング電源5V *4
・スイッチング電源24V *2
・あと各種ケーブル(自作含)

PCは1台。そこから全て制御した。LEDは2タイプあり、それをそれぞれ2系統づつに分けていた。

1m/60LED/60pixelで制御できて表現力の高いLEDストリップが15本。設置場所の関係で11本と4本に分けた。PCからルーター経由でLEDコントローラ(Advatek PixLite16 Mk2)に接続。18W/1m消費なので、5Vだと1LEDあたり0.06Aくらい。60LED/m*15=54A。PixLiteはそれ自体から電源供給できる仕様になっているけど1OUTあたり4Aまでなので全然足りないから別途電源を供給する。60Wのスイッチング電源を購入。バッファを見て数個買う。延長していくと電圧降下で正常に点灯しなくなるので所々で電源を足してあげる。

1m/48LED/8pixelでやや表現力は落ちるがウォータープルーフで外にも設置しやすいLEDバーが30本。距離が遠いのでEthernetを伸ばしてOpen DMX EthernetでDMXに変換、そこからさらにDMX-SPI DecoderでDMXからSPIに変換。DMX-SPIはDMXの仕様上このLEDバーを30本はまとめて制御できないので15本2グループに分ける。こちらは24Vなのでかなり気軽に伸ばせてよかった。

あとは細々した点。

スイッチング電源はよくわからない所のやつを買うのが不安だったのと、ミスミがすぐ発送してくれるのでミスミで5V60Aを買った。けど結構高かったので購入先検討してもいいのかもしれない。

60LEDのLEDストリップ自体はシリコンカバーで覆われていてウォータープルーフなのだが端子部分は違うのでそこが取扱に気を使う。今回は室内だったからいいけど。半室内な部分もあったのでそこはビニテで絶縁したものの防水の端子にしたいところ。

LED同士を繋ぐ延長はJSTの3端子。JSTのオスメスの延長はあんまり売ってなくて、かつ目立たなくしたかったので黒を探したが日本では全然売ってないのでAliExpressで探して買った。

ちなみにPixLiteはArt-NetからSPIに直接変換しているからか(?)、DMXの1Universeで制御できる個数以上をまとめて1ラインで制御できるので便利。

あとは今回室内で使うLEDのカバーはちょうどいい具合のものがなかったので自分達で木工して塗装して作った。このへんは手を動かしていていいのか?という疑問もあるが、とはいえ理想的なものがなければ作る。というのは正しい姿勢だと信じたい。実際光の具合はすごく良かったと思っている。

あと外については当日途中でめっちゃ雨が降ってきて、LEDとケーブルのウォータープルーフ仕様に大感謝しました。

ソフトウェア

PCに入ったTouchDesignerでパターンを生成。60LEDタイプはArt-NetでPixLiteに通信。PixLiteがSPIに変換してLEDチップを制御。48LEDタイプはTouchDesignerからODE(Open DMX Ethernet)にArt-Netで通信。ODEがArt-NetからDMXに変換しDMX-SPI Converterに通信。DMX-SPI ConverterがDMXをSPIに変換してLEDチップを制御。

表現

あとは表現面だが蜃気楼というテーマもあるのでウェブカメラから取り込んだ映像をもとに、LEDの点灯パターンを作ってみることにした。しかし実際には設置環境がかなり暗かったこともあり用途としてはノイズのパラメータの1要素くらいに留まってしまったのは改良の余地があると感じた。とはいえ『異界化する』という目的は達成できたと思う。

撮影

当然だが暗い場所でやるので、アーカイブ用の撮影がすごく難しかった。最近暗いところが多いのでいつもうまくいかない。これについても次回は改善したい。

何をしたか

プロジェクトとしては何を担当したか。こういう場所でこういう企画があるから動線の照明を兼ねつつただ照らしてもつまらないのでいい感じにしてほしいというオーダーからスタート。で、そこから大体こんな感じか。

・現場調査
・照明のレイアウトと配線の設計
・機材構成の設計
・通信やソフトウェア構成の設計
・資材調達
・LED照明のシェードは木工して制作
・線材制作や電子工作
・照明パターンのデザイン
・ネットワークの設定、構築
・TouchDesignerのプログラミングによる制御
・設置設営撤収

おわりに

そもそも大規模になるほど機材と人手を持っていることが重要になってくるので大きな照明屋さんと競争できるわけではないし、僕自身も照明屋さんになりたいわけではない。VJ(個人的にはVJとは違ってLive Visualだと思っているんだけど)とかはプロジェクターによる空間演出だし、今回はLED照明を使った空間演出だし、と思ってやっている。インタラクションはなくてもいいと個人的には思っているが、ないとしてもプログラミングによる制御をすることによってそれがないとできないことをしたいと思っている。

ある程度以上の規模のものであれば機材をたくさん持っている会社と組んでやることになると思う。ただそのときにプログラミングをできる絵を作れるのはひとつのアドバンテージだと思うし、またハードについてもある程度知っていることは意味がある。

過去に大きな規模のLED制御をやった際の進め方や分業のパターンとしては、クリエイティブに関するディレクションやデザイン、企画などは任せてもらいつつ、機材の組み立てや設置、電源まわりは全部お任せして、センシングやインタラクションやビジュアルのみを担当してメディアサーバーに映像をINしたり、またはDMXを送るところまでこちらでやる、というケースが多かったように思う。

謝辞

お声がけいただいたNue松倉さん。機材協力いただいた1-10さん STARRYWORKSさん、その他関係者の皆様。ありがとうございました。

SPEKTRAという名義で一緒にやっている森岡さん、今回は機材貸してもらってありがとうございました。

リンク

B1 MIRAGE | Project | KOUSEI IKEDA
B1 Mirage on Vimeo

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