2018.11.28 Tech

10.26に京都市美術館付属棟で実施した若手映像作家達の展示イベント『B1 MIRAGE』で照明制御を行った。その際のシステムについて簡単に解説。

B1 Mirage from Kousei Ikeda / ikekou on Vimeo.

ハードウェア

まずハード(物理層、データリンク層あたり?)は大体こんな感じ。

機材は
・PC *1
・LED Strip *20
・LED Bar *30
・Art-Net DMX Converter (Open DMX Ethernet) *2
・DMX SPI Converter *2
・Router *1
・Art-Net SPI Converter (PixLite16) *1
・スイッチング電源5V *4
・スイッチング電源24V *2
・あと各種ケーブル(自作含)

PCは1台。そこから全て制御した。LEDは2タイプあり、それをそれぞれ2系統づつに分けていた。

1m/60LED/60pixelで制御できて表現力の高いLEDストリップが15本。設置場所の関係で11本と4本に分けた。PCからルーター経由でLEDコントローラ(Advatek PixLite16 Mk2)に接続。18W/1m消費なので、5Vだと1LEDあたり0.06Aくらい。60LED/m*15=54A。PixLiteはそれ自体から電源供給できる仕様になっているけど1OUTあたり4Aまでなので全然足りないから別途電源を供給する。60Wのスイッチング電源を購入。バッファを見て数個買う。延長していくと電圧降下で正常に点灯しなくなるので所々で電源を足してあげる。

1m/48LED/8pixelでやや表現力は落ちるがウォータープルーフで外にも設置しやすいLEDバーが30本。距離が遠いのでEthernetを伸ばしてOpen DMX EthernetでDMXに変換、そこからさらにDMX-SPI DecoderでDMXからSPIに変換。DMX-SPIはDMXの仕様上このLEDバーを30本はまとめて制御できないので15本2グループに分ける。こちらは24Vなのでかなり気軽に伸ばせてよかった。

あとは細々した点。

スイッチング電源はよくわからない所のやつを買うのが不安だったのと、ミスミがすぐ発送してくれるのでミスミで5V60Aを買った。けど結構高かったので購入先検討してもいいのかもしれない。

60LEDのLEDストリップ自体はシリコンカバーで覆われていてウォータープルーフなのだが端子部分は違うのでそこが取扱に気を使う。今回は室内だったからいいけど。半室内な部分もあったのでそこはビニテで絶縁したものの防水の端子にしたいところ。

LED同士を繋ぐ延長はJSTの3端子。JSTのオスメスの延長はあんまり売ってなくて、かつ目立たなくしたかったので黒を探したが日本では全然売ってないのでAliExpressで探して買った。

ちなみにPixLiteはArt-NetからSPIに直接変換しているからか(?)、DMXの1Universeで制御できる個数以上をまとめて1ラインで制御できるので便利。

あとは今回室内で使うLEDのカバーはちょうどいい具合のものがなかったので自分達で木工して塗装して作った。このへんは手を動かしていていいのか?という疑問もあるが、とはいえ理想的なものがなければ作る。というのは正しい姿勢だと信じたい。実際光の具合はすごく良かったと思っている。

あと外については当日途中でめっちゃ雨が降ってきて、LEDとケーブルのウォータープルーフ仕様に大感謝しました。

ソフトウェア

PCに入ったTouchDesignerでパターンを生成。60LEDタイプはArt-NetでPixLiteに通信。PixLiteがSPIに変換してLEDチップを制御。48LEDタイプはTouchDesignerからODE(Open DMX Ethernet)にArt-Netで通信。ODEがArt-NetからDMXに変換しDMX-SPI Converterに通信。DMX-SPI ConverterがDMXをSPIに変換してLEDチップを制御。

表現

あとは表現面だが蜃気楼というテーマもあるのでウェブカメラから取り込んだ映像をもとに、LEDの点灯パターンを作ってみることにした。しかし実際には設置環境がかなり暗かったこともあり用途としてはノイズのパラメータの1要素くらいに留まってしまったのは改良の余地があると感じた。とはいえ『異界化する』という目的は達成できたと思う。

撮影

当然だが暗い場所でやるので、アーカイブ用の撮影がすごく難しかった。最近暗いところが多いのでいつもうまくいかない。これについても次回は改善したい。

何をしたか

プロジェクトとしては何を担当したか。こういう場所でこういう企画があるから動線の照明を兼ねつつただ照らしてもつまらないのでいい感じにしてほしいというオーダーからスタート。で、そこから大体こんな感じか。

・現場調査
・照明のレイアウトと配線の設計
・機材構成の設計
・通信やソフトウェア構成の設計
・資材調達
・LED照明のシェードは木工して制作
・線材制作や電子工作
・照明パターンのデザイン
・ネットワークの設定、構築
・TouchDesignerのプログラミングによる制御
・設置設営撤収

おわりに

そもそも大規模になるほど機材と人手を持っていることが重要になってくるので大きな照明屋さんと競争できるわけではないし、僕自身も照明屋さんになりたいわけではない。VJ(個人的にはVJとは違ってLive Visualだと思っているんだけど)とかはプロジェクターによる空間演出だし、今回はLED照明を使った空間演出だし、と思ってやっている。インタラクションはなくてもいいと個人的には思っているが、ないとしてもプログラミングによる制御をすることによってそれがないとできないことをしたいと思っている。

ある程度以上の規模のものであれば機材をたくさん持っている会社と組んでやることになると思う。ただそのときにプログラミングをできる絵を作れるのはひとつのアドバンテージだと思うし、またハードについてもある程度知っていることは意味がある。

過去に大きな規模のLED制御をやった際の進め方や分業のパターンとしては、クリエイティブに関するディレクションやデザイン、企画などは任せてもらいつつ、機材の組み立てや設置、電源まわりは全部お任せして、センシングやインタラクションやビジュアルのみを担当してメディアサーバーに映像をINしたり、またはDMXを送るところまでこちらでやる、というケースが多かったように思う。

謝辞

お声がけいただいたNue松倉さん。機材協力いただいた1-10さん STARRYWORKSさん、その他関係者の皆様。ありがとうございました。

SPEKTRAという名義で一緒にやっている森岡さん、今回は機材貸してもらってありがとうございました。

リンク

B1 MIRAGE | Project | KOUSEI IKEDA
B1 Mirage on Vimeo