2018.09.06 Note

1週間ほどベルリンに行った。目的のひとつにベルリンの自転車カルチャーへの興味があったのでまとめる。

なぜ自転車なのか

自分は京都市内の比較的便利な地域に住んでいて、また車を持っていないことなどもあり自転車にもよく乗る。ただ走行や駐輪で色々ともっとこうだったらきっとみんな便利なのになと思うことが結構あったりする。

ベルリンやアムスや北欧では自転車の利用者が多くて都市もそれに応じたつくりになっているという噂レベルでの知識はあった。自転車活用が進んでいると聞く都市のありかた、自転車利用のされかた、市民への受け入れられ方、行政のかかわりかた、などなどを実際に見てみたかった。というのがベースにあり、自転車を借りてあちこち走ってみた。住んでいる京都や日本との違いを考えてみる。

そんなわけで目的は「正確を期したリサーチ」ではなく「実際にその場所行って感じてみる」ということで、意図して嘘を書くつもりはないけれども必ずしも全ての記述の裏どりをしているわけではないので、印象と実際が違うことはあるかもしれないので注意。

なぜベルリンなのか

じゃあなぜアムスや北欧ではなくベルリンなのかというとこれについては深い理由はなくて。今ちょうど友人が住んでいたり、前に住んでいた友人がここのところまわりに増えている状況で。あとはその他いくつかの別の興味とあわせて来たかった。

走行について

まず走行について。

右側通行。かなりの場所で自転車車線が明示されてる。幅は自転車が1.5〜2台程度は遠れる程度。大体は車道にあるが、歩道に作られてる場所もある。線がちゃんと引かれてる場所も多いけどないとこも多い。

専用車線が設置できているのは日本より道路が広いから?というと全然そんなこともなく。表通りの広さは正直京都と大差ないのではないかと。ベルリンは多くの場所で道路脇に自動車が駐車できるのでまずそれが並び1、その次に自転車車線があり、場所によってはさらに路面電車も走ってる。自動車は片側1車線しかない所も多かった。基本的に譲り合いが発生。

そもそも自転車専用車線のあるなしというよりも自動車ユーザーからの自転車の見方が異なる感じがした。車として扱ってくれてるし、ギリギリをスピード出して走られたりしなかったし、譲ってくれるし。あくまで印象ではあるが恐怖を感じる瞬間はほぼなく、大変走りやすかった。

ただ路面についてはヨーロッパっぽい石畳の道路もそれなりにまだあり、そういう場所はもう全く自転車向きではない感じで走るのは苦行。

駐輪について

ここかなり日本と違くて、そもそもどこにでも停めて良い。もちろん厳密には禁止の地域もあるそうだけど、特別なケースを除き基本的にはどこに留めても良く、そもそも「駐輪場」というものがない。

どこにでも停めれるので、目的地まで行ってサっと停めてお店などに入りまた移動ができる。当然街中のあらゆる箇所に自転車がとまっているのだけど、迷惑駐輪だとかそういう話じゃなくて皆がそういうものだと受け入れているし、皆が当事者としてメリットもデメリットも享受して受け入れているように見えた。このあたりは車道での譲り合いにも感じたしベルリンの精神性なのかも。

で実際どこにでも停めてよい環境で自転車に乗ってみて思ったのは、経済的なメリットも大きいのでは?ということ。ベルリンもわりとコンパクトシティで、自転車でせいぜい端から端まで1時間程度と聞いた。お店がいっぱいある中心地になるともっと狭い。

個人的な感覚だが、古い建物が多く、グラフィティやステッカーに溢れた街で、自転車がいっぱい停まってるのは似合ってたように思えて、美観としても問題がおきてない気がした。このあたりはもちろんその街によるよね。

自分が観光客だったのでその視点でいうと、どこにでも停めれるおかげで相当あちこちに行った。記録を見ると30キロ以上走ってる。グーグルマップでお店を調べてあちこち行ったのでお金は落としているし。当然だが徒歩客が多いケースより商圏が広がっていると思う。商圏という点では観光客ではない住民についてもそうだろうし。

京都の最近の一部地域への過密な観光客の流入、バスの以上な混雑、は別の移動方法を提供することで能動的に分散してもらい、緩和できたりしないものかな、などと思った。当然京都で活発にお客さんが来るエリアが増えるメリットもあるんじゃないのかな。

もちろん人口密度の違いなどもあると思う。

公共交通機関への持ち込みについて

これも事前知識としてあったので期待して行った。これについてはやや期待はずれだったように思う。ちなみにベルリンには路面電車と地下鉄があるんだけどたまたま地下鉄ばかりでトラムにあまり乗ってなくてよくわからないので地下鉄の話をする。

地下鉄には自転車をそのまま持ち込める。チケットは有料で追加。200円くらいかな。ただ、たしかに自転車をもちこめるんだがいかんせん地下鉄ホームへの経路が全くバリアフリーではなく(車椅子の人とかどう行くんだろう)エレベーターとかない。担いで持ち込むしかないようにみえた。

女性で持ち込んでいる人とかも担いて持って来てるわけですごい。

そんなことからか、総じて利用者自体はそれほど多くなく1週間いても自転車を持ち込んでいる人を見かけることのほうが少なかった。

シェア自転車について

世界中で話題のシェア自転車。賛否はあるよね。ベルリンにもここ2年くらい?でガっと増えたらしい。

最近読んだ記事によると本国の中国では色々と問題が出ていてもう禁止されちゃった行政区とかもあるそうで。ベルリンについては聞いた話だとここ2年くらいで急に増えたとかいう話だけど、見た感じすごく上手く運用されているように思う。

どういう点がうまくいっているように見えたのかというと。

まず、中国の写真でよく見かける、走行不能で放置されている自転車。そういうのを一度しか見なかった。

走行は可能だが半分故障している、というようなものもまずない。たまに、ちょっとキコキコいうかなという程度。キコキコいうやつに当たっちゃうと、すぐアプリで別の自転車を探して乗り換えたりしていた。故障もアプリから申請できる。空気もすべて入っているしメンテがきちんとされているようだ。ちなみにノーパンクタイヤではなかった。

ひとつは中国に比べてまだ導入時期が浅いので自転車自体の老朽化がまだしていないのかもしれないとか、日本や多くのアジア地域に比べると高温多湿ではないのでサビたりなどダメージを受けづらい気候なのかもとか。国民性以外にも違いはあるのだと思うが、総じてうまく運用されていたように思う。また存在自体を迷惑に感じているかというのも何人かに聞いたがそれもない模様。ここでも存在を受け入れている感じがする。

あとは、経年劣化で設備更新時期になったときにそのコストをまかなえるのかということかな。

ただ日本と異なりどこにでも駐輪できる感じなので利便性が半端なく、メンテもされている分乗りやすいし稼働率もかなり高いように見えたので、良いサイクルがまわっているのかもしれない。

ちなみにベルリンでよくみかけたのはオレンジ色のmobikeと

緑色のlime bike。

mobikeはギア比と車輪の小ささで漕げども漕げどもなかなか進まず僕はややつらくて、limeは電動アシストだし大変快適。ほぼlimeに乗ってた。記録を見ると24kmくらい走ってる。ベルリンでは身分証とかなしにアプリ入れたらサクっと乗れるので、とにかくむちゃくちゃ便利。社会問題化してる感じもいまのところしなかったので、今の利便性が続くといいな。

市民運動

クリティカルマスというイベントに参加した。

多数の自転車利用者が週末に一緒に走り、自転車に優しいまちづくりをアピールするイベント。自発的に発生しているという形態らしい。ベルリンでは月に一度行われている。

あとなんかこれはちゃんと調べれてないんだけどベルリンでは自転車が一定以上の台数が集まると1台の自転車として換算される?とかで団体が続いている限り後続は信号でも止まる必要がない。だって1台のながーい自転車が走ってるわけだから。っていう風に聞いた。そんなわけで延々と走り続けれる楽しいイベントだった。

いわばデモ文化なのだが、日本でデモというとものものしい雰囲気という印象を持っていたが、クリティカルマスは楽しい雰囲気。思い思いのちょっとした仮装っぽいものをしている人もいたし、自作の目立つ自転車に乗ってる人もいたり。中にはインラインスケートの人もいたけど。

あとは沿道に立っている人たちが歓声あげてくれたり、ハイタッチしてくれたり。みんな楽しい模様。

気になるのは自動車で、自動車ユーザーからしたら迷惑でしかないと思うのだけど、クラクションを一度も聞かなかった。とはいえやっぱり無理やり進んでこようとする人もいるみたいなので警察が車道に立って止めてくれてる。

ちなみに「クリティカルマップ」というアプリがあって、これを入れると参加者でアプリを入れてる人の現在地がわかるから、団体がどこにいるかわかるので、参加したければそこに行けばいいし(ただし移動してるから追いつかないといけないけど)、避けたければアプリを見れば避けれる。

その他

全然別の話としてベルリンにはスケーターは全然みかけなくて。移動手段として使ってる人はまれにいたけど、トリックの練習してる集団はいなかった。どこかにはいるんだと思うからエリアが違ったんだろうな。

まとめ

オープンさ。変化を許容するということ。あとは古いものが残ってるところとか、気候的な強みもあるのだと思うし。色々と好印象だった。

車道を普通に電動スケボーではしってるひともいるし、キックスケーターやインラインスケートやらセグウェイやらがそのへんをはしってた。セグウェイはさすがに日常使いじゃなくてレンタルだと思うけど。このあたりはゆるい。

公共交通機関と徒歩の間を埋めるもの、自動車移動と徒歩の間の存在。日本では(でも?)都市化・集積化がより進んでいくと思うこれからの日本において、集積しつつもその集積可能なエリアを広げるために絶対に必要なものだと思っていて。

マイクロモビリティもそうだし、モビリティでなくても自転車もそう。実はずっとこの領域にすごい興味がある。だけどそもそも法改正しないといけないからビジネス的な興味というよりはまずは法律改正への興味かな。法律がなんとかならないとビジネスも育たないからね。

京都のことをいうと、地下鉄烏丸線沿線がやっぱり家賃が高い。便利だからね。あとは他の地下鉄沿線。ただ駐輪がとかく不便なので駅まで徒歩のケースが多いんだけど、そうすると10分はもうつらい。だから烏丸線でいうと、たとえば堀川まで離れると家賃が一気に落ちる。お店も減る。商圏としての価値も住居としての価値も地下鉄すぐに比べると圧倒的に低いわけで。だけどこれが別の便利な移動手段があればどうだろう。移動手段のアップデートで、東京とは別のアプローチで街の価値もっとあげれるとおもうのだけどな。

ちなみに田舎に行って自転車を自由に乗って止めれる場所に住めばいい、かというとそうではなくて。地下鉄などの公共交通機関が発達している都市部での自転車(ないし類する位置づけの移動手段)との組み合わせによる歳の発達に興味がある。

どっかそういう街って日本にないのかな?そういう所があれば少し引っ越してみたい。筑波なんかは一時期セグウェイの社会実験してたっけ。どこか変化に寛容で興味深い街があれば知りたいな。

Tags -